2024/05/13
931: ↓名無し:18/12/09(日) 23:07:09 ID:n6K何年か前の話しだからもう時効かなと思うので吐き出し
物事の流れは覚えているけど、会話は脳内で八割補ってます
私は親から名実ともに独り立ちするよう、就職と同時に一人暮らしするように言われた
ただ、車必須の田舎で、新社会人の私に車を新しく購入させるのも忍びないと思ったのか、お金が貯まるまでは両親の乗ってたカムリを譲り受けることになった
私は車に全く興味も感心もなくて、譲り受けるまで両親の車がカムリという名前だったことすら知らないほどだった
当時の私の認識は
重機、トラック、四角い車、車らしい車、軽自動車、ゴーカートみたいな車
とかそんな認識
興味ない人がポケモンと妖怪ウォッチとパズドラ見るとみんな同じに見えるような感じといえば伝わりやすいだろうか
働いて一年たったあたりで車購入の資金として40万溜まったので、中古の軽自動車でも購入しようかと考えていた
だけど車のことが全くわからない
カムリも一年弱しか乗っていないので車検も経験がなく、どうしようかと考えて会社の人に相談することにした
「細い山道でも小回りが効くような軽ってどういうの選んだらいいですか?」
周りの人は軽はカムリとちがって全然走らないよ
どこそこの軽は買わないほうが良いよ
走行距離10万キロ超えた軽は避けたほうがいいよ
等、私にでも理解できるわかりやすい説明をしてくれた
そんな中、「俺の知り合いにディーラーがいるから紹介してやるよ」という先輩があらわれた
そして先輩は私の要望ガン無視で、3桁万円の車を「俺の口コミで格安だから」と紹介してきた
多分スポーツカーだったように思う
私が苦笑いを無理やり作って「そんな、私にそんな大層な車を買う貯金ありませんよ」と伝えると
先輩はワザとらしく驚いたような顔をして
「えぇ!?どんなお金の使い方してるの?ちゃんとお金貯めないと~節約したら一年で貯められる額だよ?」
と言ってきた
私、一人暮らし、社会人になって一年
先輩、実家暮らし、社会人になって七年
そりゃ貯められる額は違うに決まってる
そしてその時の手取りは16万くらいだった
先輩が言うように一年で貯めようと思ったら、ボーナス含めほぼ全額を貯金しなければならない
先輩がそうやってお金を貯めているのだとしたら、先輩は稼いだ額を一銭も実家に入れてないことになる
だけど先輩は自分の発言がどういった意味になるのか考えず、私にマウントを始めた
一人暮らしで毎日家事して可能な限り自炊してたのだが
繁忙期に残業して帰りが9時半を過ぎると、自炊してる余裕っていうか食品を買う余裕がなかった
そして帰りが9時半をすぎると、会社近くのローソンで翌朝期限が切れる弁当に割引シールが貼られるので、それを二個購入していた
それを夕飯と翌日の昼食にする
賞味期限は数時間切れてるけど、そんな短時間で腐るわけでもないから気にしなかった
特に震災があった年は毎日毎日残業していて、毎日コンビニの半額弁当
正直疲れて食欲も無かったけど、体が資本だと弁当を買って帰って無理にでも食べてた
932: ↓名無し:18/12/09(日) 23:07:32 ID:n6Kしかし、会社の近くだったから先輩に頻繁に見られていた
「女の子なんだから自炊しないと~」
「コンビニ弁当なんか買ってるからお金が~」
「俺はコンビニ弁当なんてもう何年も買ってないね~」
「コンビニ弁当ばかり食べてたら不妊が~」
やさぐれてる時期にマウントマウントマウント
そこに加えてしつこい車の宣伝
爆発寸前だった私に、長年パートとして勤めてる歴戦のおばちゃんが私に耳打ちしてくれた
「次車のこと言われたらな、おばちゃんに話を合わすんやで」
そしてその機会は程なくして来た
昼休み、私がスズキとホンダの軽自動車の情報を見比べていたとき、先輩がやってきた
「そんな装甲ペラッペラの車なんか怖くて乗れないよ。高速だってウンチャラカンチャラ
それに比べて俺の見つけた車はウンチャラカンチャラ」
そこにすかさずおばちゃんが駆けつけてくれた
「まぁ!その車って云々、すごい掘り出し物じゃない!よく見つけたわねぇ」
おばちゃんに褒められて鼻高々になった先輩はしばしおばちゃんと車トークを始めた
話についていけずポカーンとしていると、先輩が「大丈夫、俺が助けてやるから君みたいな子でも乗れるさ!」と意味不明なフォローを始めた
しかしそこでまたおばちゃんが割って入る
「えぇ?この車をこの子に?やだわぁ、こんな若い子が乗り回すような車じゃないでしょ、ねぇ?」
おばちゃんにふられたので、よくわからないまま首を縦に振る私
「それにこういう車は、自分で運転するんじゃなくて、素敵な男の子に乗せてもらえるからいいんじゃない!」
おばちゃんが目配せしてきたので、また激しく頭を縦に振る私
「先輩くんみたいな子にこそ似合うんじゃないかしらねぇ、先輩くんみたいな子に乗せてもらったら女の子も喜ぶわぁ
おばちゃんもあと30年若ければ」
おばちゃんに背中をバンバンされたので、「そんな、山田さん(おばちゃん)だって素敵なマダムじゃないですか」
必死に話を合わせる私
「ヤダこの子ったら!
私もレディなら先輩くんの助手席に乗りたかったんだけだねぇ
でも私が乗るのは主人の車の助手席だけなのよー残念だわー」
おばちゃんは軽やかに笑ってさり気なく去っていった
私も「先輩の助手席なら安心して乗れそうですね」と適当にあわせ、ボロが出ないようトイレに逃げた
物凄く棒読みで周りでみてた人からは大根役者にも程があると言われたんだけど
おばちゃんにのせられた先輩は目が曇っていたらしい
その日から先輩は私に車を推してくる代わりに、「この車って俺に似合う?」と聞いてくるようになった
なので死んだら閻魔様に舌を抜かれても何の申し開きもできないくらい嘘を並べ立てて褒めまくった
そしてそれから一月後、先輩は私に勧めていた車を自分で購入した
納車前からしつこいくらいドライブのお誘いがあったが、納車と同時に親と大喧嘩したとかで実家を追い出されたらしく
私に構っている暇がなくなったのか、その後すぐ何も言ってこなくなり、毎日会社に乗ってきていた車が消え、前のように電車通勤に戻り
そして気づいたら会社から消えていた
一方私は震災の件で忙しく、車を買う機会をズルズル失っている間に、人づてに走行距離1,5万キロの3年落ちのスティングレイを格安で譲り受けた
今の大事な相棒です
続きます…